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息もできない

第9章 お友達ってどこまでですか

謝るとさっきまでちょっと怒ってるような雰囲気だった三浦さんはにこっと笑った


「いいの見つかった?つーか、あの店気に入らなかった?」
「んー……あんまり。あの店好きだけど、俺には似合わない服ばっかりだよ」


ネックレスのことは渡す時でいいや

「そんなことないだろ。何着たって似合うくせに」
「ぅー…そんなことないー。それに」
「それに?」
「……他の人が………俺じゃあんなオシャレな店似合わないってきっと言ってる」

「ーーーーは?」

「……」

なんか、そんなこと考えていると涙出てくる

本当にじんわりと涙が滲んだところで

「ぁー……クス、こっちおいで」


と三浦さんに手を引かれて辿り着いたのはショッピングモールの中でも奥の奥にあるトイレだった

そこで個室に入り鍵を閉めると洋式トイレの便器の蓋を閉めてそこに座った


「おいで?」

と言われて近づくと腕を掴まれて促されるまま三浦さんの膝の上に向かい合うように座った

その至近距離のまま目を見ながら話される

「なぁ。前から疑問だったんだけど、谷口さんがネガティブなのには何か理由があるの?」

「…俺、そんなにネガティブかなぁ?」
「うーん…まぁ人によるんだろうけど」


聞きたいな?って首を傾げられたら、なんか断れなくて


「むかし………ちょっと」

とだけ

それじゃ飽きれられるかなって不安になって表情を伺うけど、三浦さんは特に何も変わらずむしろさっきより微笑みが暖かくなった

「そっか…」

と言って抱き締められた

「んー……」

「もっかい買い物行く?俺が選んであげよっか」
「うん。行く……けど、もう少しこのままーー」



しばらくハグしあってから俺たちは個室を出た


店まで戻る途中で三浦さんは俺に聞いてきた

「…あの元友達ともさ、こんなことしてたの?」
「?誰?」
「あー…」
「圭太のこと?」
「ん、そう」
「ハグぐらいはしてたよ?」

「……そっか」



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