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息もできない

第29章 番外編「Happy Birthday」


ま、迷わずにって言ってたし……?


何となく周りに人がいないことを確認して、恐る恐る扉を引く

鍵はかかっていなくて、難なく開いた扉をくぐった

カーテンをどけて店内を見ると


「!!」
「ハッピーバースデー、直!」


パン!とクラッカーの鳴る音がして、紙吹雪が舞った


はっぴー……ばーすでー……


「春陽俺の誕生日知ってたの!?」
「何言ってんの。当然でしょ」
「だって……俺教えてない……」


春陽は俺をお店の真ん中の席に促しながら話す


「本人に聞くだけが知る方法じゃないよ」
「そう、だけど……」


テーブルの上には豪華な食事と、小さなホールケーキ


「本当は朗とか中野とか呼んで盛大にやろうかと思ったんだけどさ、やっぱり2人っきりでお祝いしたくて」


やばい
また泣きそう


「ばるびぃ……」
「また泣いた」


笑いながら春陽は俺を優しく抱きしめてくれる


「昨日泣いた理由わかってたんだけど、サプライズしたいなって欲が出ちゃった。意地悪してごめんね」


春陽の優しい匂いがして
安心する


「いいよ。嬉しい……ありがとう春陽」
「ん……誕生日おめでとう。愛してるよ、直」
「俺も。大好き」
「生まれてきてくれてありがとう」



あぁ、ほんとに
俺ってなんて幸せなんだろう

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