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息もできない

第29章 番外編「Happy Birthday」


おまけ


春陽からの誕生日プレゼントは腕時計だった


「いつも直の傍にいられるように」だって
そんなこと言われたら今後この時計以外つけられないよ


次の日の朝、春陽からもらった腕時計と圭太からもらったタイピンをつけて鏡を見てみると


なんかちょっとむず痒いな


洗面台の鏡の前で1人で笑っていたからか、春陽が不審がって入ってきた


「直?そろそろ出るよ」
「うん。見て見て、似合う?」
「すごい似合う」
「えへへ」


褒められた嬉しさに頬を緩ませていると、春陽の表情が固まった

そして手が俺のネクタイに伸びる


「……このタイピン、俺見たことないけど。買ったの?」
「これ?圭太に貰ったんだ」
「いつ?」
「一昨日。ちょっと早いけどって」
「…………」
「春陽?」


そんなに強く握ったらネクタイ、シワになっちゃうよ?


「……12時に言った俺が1番早く誕生日祝ったと思ったのに……」
「え?」


……12時?に?


「言われたっけ……?」
「直は寝てたからね」


あ……あの時
俺が疲れて寝た後……?

うわうわ、恥ずかしい
けど
嬉しい……!!


圭太に先を越されたことが悔しくて顔を顰める春陽に抱きつく


「わ……直?」
「春陽!大好き!!」
「うん。俺も」


抱き合ってお互いの体温を確かめ合う


あーー
やっぱり俺、幸せ


と思ってたんだけど


「客は直が来た途端浮き足立ってるし、楽しみにしてた誕生日は中野に先を越されるし……」
「え、春陽……?落ち込まないで」


何かどんどん落ち込んでいってしまった春陽を出社までにどうにか慰めなきゃいけなかった


それはそれで、俺としては楽しかった
なんてことは秘密

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