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息もできない

第30章 番外編「恋人達の聖夜」


春陽疲れて帰ってくるだろうから、俺が何か用意してあげたいな


「谷口さん! こっち終わった!?」
「今まとめてます」


よし、がんばろ


俺は一緒に頑張ってる春陽に思いを馳せつつパソコンの画面を見つめた




「終わったーー!!!」
「お疲れ様でした!!」


フロアにそんな声が響いたのはあれから数十分後


疲れた……


ずっと動かしてた指が怠い

みんながぞろぞろ帰り支度を始めて、俺も荷物を纏める

立ち上がって会社を出てから暫く経った時


「!」


後ろからポン、と肩を叩かれた


「こんばんは」


振り返るとそこにいたのは春陽の幼馴染で圭太の恋人


「黒澤さん!」
「お久しぶりです」
「お久しぶりです!」


にこにこ微笑んでいても、その立ち姿は前に見た時と同じように凛とした印象を受ける


相変わらず素敵な人だなぁ


少しだけ世間話をしていると、黒澤さんが俺の働くビルを見上げた

そして


「あの、中野さんは……まだ仕事ですか?」


と、少し言いづらそうに言う


「部署が違うのでわかりませんが今日は残業禁止になってるので、どの部署ももう終わりだと思いますよ」

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