息もできない
第10章 そして始まります
「ほんとはね、あの時、キスも初めて」
言った瞬間俺の身体に巻きついてた腕がぴくっと動いた
そして肩にあったハルヒの頭がずるずると下がって俺のお腹あたりに顔を埋める感じになった
「ハルヒ?」
「マジかよ…俺、あの時そんなこと考えてもみなかった…こんな綺麗な男が女ともキスしたことないとか…」
なんか、困ってる?
「変…かな。……迷惑?俺のファーストキス」
おずおずとお腹にある頭を撫でてみる
「迷惑なもんか。でも…そういうことは早く言えよ。そしたらもっと…」
「もっと?」
「気、遣ったのに」
なんか、かわいー
「ふふ、ーーのに…」
「ん?」
「いいのに、別に気なんか遣わなくたって…俺はあれがファーストキスで満足してるよ?」
そう言うと頭をぐりぐりと押し付けられた
「んに、くすぐった…」
「…ごめん」
「何が?」
「俺のファーストキスは直にあげられなかった」
言葉にされると胸がツキンと痛むなぁ
「いいよ、わかってたから」
「んー…でも、くやし」
普段甘えん坊の俺が他人から甘えられるなんてことないからこういうのって新鮮で可愛くて、頭をわしゃわしゃと撫で回してた