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息もできない

第11章 それでも、信じたかったのです

次の日
俺は朝の6時に起こされた

「ーーお、…なお……直」

「は、るひ……」
「おはよ」
「おはよう」


朝の少し掠れた声で至近距離で囁かれるなんて犯罪だよ
かっこよすぎ

でもそんな感情に浸っている余裕なんてもちろんなくて朝ご飯を食べて支度をしたらすぐに家を出た

「いってきます」
「いってらっしゃい。終わったらメールしてね」
「うん」

額にキスされてから会社に向かう


なんか、幸せすぎて顔が緩みそう
気抜かないようにしなくちゃ


張り切って歩いていると後ろから大きな声が聞こえた


「なーーーーおーーっ!おはよ!」
「おはようございます、中野さん」

中野、なんて名字で呼ぶの初めてかもなー


「なんでそんなにつれないんだよぉ、なおー」

俺は少し口元を綻ばせながら

「すみません、今朝は急いでいるので」

と言って足早にその場を去った


風が強かったのと、また周りの女の子がひそひそ噂話をしていたのとで

「あーぁ、直の処女取られちゃったか…まぁいいや」


と呟いた圭太の声は俺の耳には入らなかった

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