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息もできない

第11章 それでも、信じたかったのです

その日は特に何かがあるわけでもなく
いつも通り時間が過ぎて行った

違うことといえばクライアントから突然の依頼が来たとかでお昼ご飯が差し入れのおにぎりしかなかったことぐらい


少しだけ残業をして
田中さんに

「谷口さん、今日はその資料を資料室に運んだら帰っていいよ」

と言われた

「ありがとうございます。それでは、お先に失礼します。お疲れ様でした」

同じぐらいの時間に帰る人やまだ少し残る社員に挨拶をしながら職場を後にした

資料室は会社の中に幾つかあるけど、今回は少し前の資料が必要だったため資料室の中でも奥まったところにある資料室から書類を持ち出してきていた

そこまで歩いている間にハルヒに仕事が終わった旨を伝えるメールを打って送信したぐらいで目的の資料室に着いた

棚に資料を戻した瞬間、部屋の電気が消える


「わ、何だ!?」

蛍光灯切れちゃったかなー

とのんきなことを考えながらポケットから携帯を取り出そうとすると急に後ろから口を塞がれた


「んむっ……」

何、誰…

驚いていると首筋に冷たいものが当たった

「!!」

ナイフ…?
うわぁぁぁぁあ!
ど、どうしよう

抵抗するな、と言わんばかりにナイフを暗くても見えるぐらいまで目に近づけられて

そのあと手足を縛られた

右手首と右足首
左手首と左足首をセットで縛られて座らされる

壁に寄りかかって座ったまま膝を立てて足を少し開かされてる感じになる

すると、俺の携帯から着信を告げる音が鳴った
俺を縛った人が俺の携帯を持ってこちらへ液晶画面を向けると、そこに表示されていたのは「ハルヒ」だった


あ、仕事終わったってメールしたから?

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