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息もできない

第12章 そして少しだけ、俺も変わるのです

ゆっくりと意識が覚醒したのがわかった

身体中を引っ掻いた時の鋭い痛みがまだ全身を駆け巡ってる



痛い



パニック起こして気絶して、昔のこと思い出すとか最悪

このまま息を止めて消えてしまえればいい



くだらないことだ、とわかっていながらそんなこと考えて現実に戻るためにうっすらと目を開けた


目に飛び込んできたのは
ハルヒが俺が寝かされているベッドの淵に突っ伏して拳を握りしる姿だった


指先は血が通わなくなって真っ白になり、もともと短く切ってある爪が食い込み皮膚を裂くほど強く拳を作っている


爪の先からは血が流れ出ている



「ハルヒ………」


名前を呼ぶと勢い良くハルヒが頭を上げた


「直っ……」


ハルヒは一瞬心配そうな顔をしたけどその後すぐににっこりと笑った


「飯、できてる」


と言って「行こう」と俺の手を取ってリビングへと導いた



どうして聞かないの


腕も、脚も、傷だらけなのに

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