テキストサイズ

息もできない

第12章 そして少しだけ、俺も変わるのです

リビングのテーブルの上には消化に良い料理がたくさん並んでいた


「これ……」
「さ、食おうぜ」


優しさが身にしみて
心の傷に覆いかぶさった



でも俺には
心が纏ったその優しさまで信じられなくて



「何でっ!?………どうして聞かないっ…!?俺が自分を傷つけたことも、圭太とのことも…っ……ぁ……」


叫ぶように言った言葉はハルヒに抱き締められて止められた


力任せに抱きしめるんじゃなく、優しく、でもしっかりと抱きしめられる


そして
ハルヒは耳元でこう言った



「いい。何も言わなくて」


囁かれる低い声に、張り詰めてた糸が切れるみたいに涙が頬を伝った


「どうして………?」


「気が向いたらでいいよ」

「気が向いたら…?」

「そう。話せるようになったらでいい」

「でも、それじゃ……!」

ハルヒは俺の言葉を遮って言う


「人はさ、信じる信じないの二択じゃない。少しずつ、関係を築いて行くものだ。だから、俺とも急に距離を縮めなくていい。少しずつでいいよ」



少しずつ、人を信じていく



ストーリーメニュー

TOPTOPへ