
♢Fallen Angel♢
第2章 *
テーブルにつくと昼間に会った男が待っていて、隣に座ると
「思ってたより早く会えて嬉しい」
腕に絡みつき、胸の膨らみを当て
「今日はありがとう。買ってくれたワンピース着て来たんだよ」
満面の笑みを向けた。
「よく似合ってるよ」
男は顔に皺を作ってはにかみ、かさついた手が膝を撫でる。
何度も撫でる手に悪寒が走る。
ボーイに呼ばれて名残惜しそうな視線を送り、テーブルを移動すると帽子を被った男と目が合い、視線が太股から足首へと追う。
隣に座り、男の太股に手を添えると
「お待たせ」
帽子の隙間から蓮を覗き、冷めたような口調で
「どうしたの?そのワンピース」
「変かな?」
「…可愛いよ」
歪んだ笑顔を帽子で隠している。
「もしかして妬いてるの?」
腕に絡みついて胸の膨らみに押し当てると
「…そんな事ないよ」
強がる顔を覗き込み
「嘘つき」
小さく笑って空きかけたグラスに手を伸ばそうとすると男に指先を握られ
「どうしたの?」
引き寄せると指輪を擦り
「誰に買って貰ったの?」
探るような瞳に笑顔を向けて
「自分で買ったんだよ。可愛いでしょ?」
「言ってくれれば買うのに…」
また同じセリフ…
指輪で縛りつけようとする気持ちは理解ができない。
客を見送りロッカーに戻るとバッグを掴んで終わりの挨拶を交わし、店を出ると歓楽街の中心に向かって歩き出した。
人の波を縫い、雑居ビルに着くとエレベーターで目的の階で降り、エントランスを抜け自動ドアを潜ると
「いらっしゃいませ」
笑顔の男たちに迎えられ、まだ空いた店に声が響く。
「奥にどうぞ」
誘導を無視して近くのボックス席を指差し
「ここでいいよ」
ソファーに体を沈めると忙しなくボトルが並べられ、手渡された熱いおしぼりで手を拭っていると
「水割りでいい?」
ボトルに目を遣ると中はまだ七割程あった。
「今日はいらない。ビール持って来て」
おしぼりを小さく畳んでいると、ビアグラスに黄金比を作って持ってきた男から直接受け取り、半分程飲んでテーブルに置くと屈んだままの男と目が合い
「いただいても…」
「どうぞ」
小ぶりなグラスが幾つも並び、水割りを手にスーツを着崩した男達に囲まれて、グラスを合わせて一気に飲み干すと泡だけになったビアグラスを渡してタバコを咥えた。
すかさず男が手を添えてライターで控えめに火をつける。
「思ってたより早く会えて嬉しい」
腕に絡みつき、胸の膨らみを当て
「今日はありがとう。買ってくれたワンピース着て来たんだよ」
満面の笑みを向けた。
「よく似合ってるよ」
男は顔に皺を作ってはにかみ、かさついた手が膝を撫でる。
何度も撫でる手に悪寒が走る。
ボーイに呼ばれて名残惜しそうな視線を送り、テーブルを移動すると帽子を被った男と目が合い、視線が太股から足首へと追う。
隣に座り、男の太股に手を添えると
「お待たせ」
帽子の隙間から蓮を覗き、冷めたような口調で
「どうしたの?そのワンピース」
「変かな?」
「…可愛いよ」
歪んだ笑顔を帽子で隠している。
「もしかして妬いてるの?」
腕に絡みついて胸の膨らみに押し当てると
「…そんな事ないよ」
強がる顔を覗き込み
「嘘つき」
小さく笑って空きかけたグラスに手を伸ばそうとすると男に指先を握られ
「どうしたの?」
引き寄せると指輪を擦り
「誰に買って貰ったの?」
探るような瞳に笑顔を向けて
「自分で買ったんだよ。可愛いでしょ?」
「言ってくれれば買うのに…」
また同じセリフ…
指輪で縛りつけようとする気持ちは理解ができない。
客を見送りロッカーに戻るとバッグを掴んで終わりの挨拶を交わし、店を出ると歓楽街の中心に向かって歩き出した。
人の波を縫い、雑居ビルに着くとエレベーターで目的の階で降り、エントランスを抜け自動ドアを潜ると
「いらっしゃいませ」
笑顔の男たちに迎えられ、まだ空いた店に声が響く。
「奥にどうぞ」
誘導を無視して近くのボックス席を指差し
「ここでいいよ」
ソファーに体を沈めると忙しなくボトルが並べられ、手渡された熱いおしぼりで手を拭っていると
「水割りでいい?」
ボトルに目を遣ると中はまだ七割程あった。
「今日はいらない。ビール持って来て」
おしぼりを小さく畳んでいると、ビアグラスに黄金比を作って持ってきた男から直接受け取り、半分程飲んでテーブルに置くと屈んだままの男と目が合い
「いただいても…」
「どうぞ」
小ぶりなグラスが幾つも並び、水割りを手にスーツを着崩した男達に囲まれて、グラスを合わせて一気に飲み干すと泡だけになったビアグラスを渡してタバコを咥えた。
すかさず男が手を添えてライターで控えめに火をつける。
