
♢Fallen Angel♢
第3章 **
広い駐車場に車を停めて、重い足取りで水族館の入り口に向かって歩いていくと
「いるかー」
二匹のイルカが跳ねるパステルカラーの看板を指差し、パーカーの裾を引っ張る。
「ちょっと…」
「ほら、蓮も手を繋ごうよ。ね?」
笑顔に負けて仕方なく手を繋いだ。
手を揺らしながら歩いていき、中に入ると唯の体を挟むようにしてエスカレーターに乗った。
全面硝子張りのトンネルに目を奪われる。
魚の群れが泳ぎ、まるで海の中にいるように感じる。
エスカレーターを登りきり水中を進むように硝子張りの壁を伝いながら足を運ぶ。
近づく大きな魚に驚いて小さな悲鳴があがる。
脚に絡みつき
「こわい…」
「ちょっと…唯?」
「唯たん抱っこしようか?」
小さく何度も頷いて抱きつくと首に絡みついた。
照明が暗くなると深い青の中に漂う幻想的な海月の海に思わず声が漏れ、まるで夢の中にいるようにさえ錯覚する。
大きな水槽の前に行くと愛くるしく近づいてくる白イルカが水中に丸い輪を広げていく。
「ママ、みてっ」
抱かれていた腕から強引に下りるとガラスにへばりついて指を差してはしゃいでいる。
小さな手を振ると応えるようにイルカが回転する。
「唯?行くよ?」
「…うん」
何か言いたげな顔で後をついてくる。
青い空間から抜けて出口が近づくにつれ現実に引き戻されていく。
小さな体が人の波を縫いぬいぐるみ目掛けて駆け出した。
「ちょっと待って」
追いつくと、いつの間にか大きなペンギンのぬいぐるみを抱えて満面の笑みを浮かべている。
「だめだよ。返してきて」
ぬいぐるみの山を指差すと唯の顔が歪んで首を振りその場から動こうとしない。
「蓮…せっかくだからお土産くらい買おうよ」
「でも…」
駿は屈んで唯の目線を合わせると
「唯たん、小さいペンギンさんにしようね?」
優しく頭を撫でた。
「…うん」
渋々手放して言われるまま、渡された小さなペンギンを抱えた。
支払いを終えると再び手を繋いで車まで歩いていき、狭いリアシートにぬいぐるみごと唯の体を沈めた。
蓮が運転席に乗り込むと
「夕食どうする?」
「ファミレスでいいんじゃないの?唯たん喜ぶと思うよ?」
返事もせずエンジンをかけタバコを咥えると火をつけた。
マフラーの低い音を響かせながら海沿いを流すと傾きかけた太陽がボンネットを赤く染める。
リアシートからは小さな寝息が聞こえてきた。
「いるかー」
二匹のイルカが跳ねるパステルカラーの看板を指差し、パーカーの裾を引っ張る。
「ちょっと…」
「ほら、蓮も手を繋ごうよ。ね?」
笑顔に負けて仕方なく手を繋いだ。
手を揺らしながら歩いていき、中に入ると唯の体を挟むようにしてエスカレーターに乗った。
全面硝子張りのトンネルに目を奪われる。
魚の群れが泳ぎ、まるで海の中にいるように感じる。
エスカレーターを登りきり水中を進むように硝子張りの壁を伝いながら足を運ぶ。
近づく大きな魚に驚いて小さな悲鳴があがる。
脚に絡みつき
「こわい…」
「ちょっと…唯?」
「唯たん抱っこしようか?」
小さく何度も頷いて抱きつくと首に絡みついた。
照明が暗くなると深い青の中に漂う幻想的な海月の海に思わず声が漏れ、まるで夢の中にいるようにさえ錯覚する。
大きな水槽の前に行くと愛くるしく近づいてくる白イルカが水中に丸い輪を広げていく。
「ママ、みてっ」
抱かれていた腕から強引に下りるとガラスにへばりついて指を差してはしゃいでいる。
小さな手を振ると応えるようにイルカが回転する。
「唯?行くよ?」
「…うん」
何か言いたげな顔で後をついてくる。
青い空間から抜けて出口が近づくにつれ現実に引き戻されていく。
小さな体が人の波を縫いぬいぐるみ目掛けて駆け出した。
「ちょっと待って」
追いつくと、いつの間にか大きなペンギンのぬいぐるみを抱えて満面の笑みを浮かべている。
「だめだよ。返してきて」
ぬいぐるみの山を指差すと唯の顔が歪んで首を振りその場から動こうとしない。
「蓮…せっかくだからお土産くらい買おうよ」
「でも…」
駿は屈んで唯の目線を合わせると
「唯たん、小さいペンギンさんにしようね?」
優しく頭を撫でた。
「…うん」
渋々手放して言われるまま、渡された小さなペンギンを抱えた。
支払いを終えると再び手を繋いで車まで歩いていき、狭いリアシートにぬいぐるみごと唯の体を沈めた。
蓮が運転席に乗り込むと
「夕食どうする?」
「ファミレスでいいんじゃないの?唯たん喜ぶと思うよ?」
返事もせずエンジンをかけタバコを咥えると火をつけた。
マフラーの低い音を響かせながら海沿いを流すと傾きかけた太陽がボンネットを赤く染める。
リアシートからは小さな寝息が聞こえてきた。
