
♢Fallen Angel♢
第1章 APPETIZER
触れる指先を太ももまで誘導して、指先を挟んだ。
隙があれば際どい所まで触ってくる客は、初めから触らせておけば多少の防御策にはなる。
「お仕事大変なのに無理してない?」
男の顔を心配そうに顔を覗き込み、わざと胸の谷間を見せる。
「大丈夫だよ。任せてきたから」
挟んである指先が肌を這う。
ボーイに呼ばれると挟んでいた手をさり気なく離し
「行かなきゃ…来たばっかりなのにごめんなさい」
目線を送って、また別のテーブルへ移動する。
見慣れた後ろ姿に胸をなで下ろし、隣に座ると
「お待たせ」
「機嫌悪そうな顔してるけど…どうかした?」
手を握り耳元で
「さっきから蓮の事、触ってくるお客さんばっかりなの」
小さく呟く。
「だからってそんな顔してちゃダメだよ。仕事なんだから」
「そうなんだけど…愚痴ちゃってごめんなさい」
「いいよ気にしなくて」
「ありがとう。でも来てくれたから良かったぁ。甘えられるのここだけだもん」
胸の膨らみを当てるように腕に絡みつく。
「蓮は可愛いな」
男は髪をそっと撫で
「何か飲む?好きなの頼んでいいよ」
「いいの?嬉しい。じゃあワインがいいな」
「好きだな。ワイン」
「うん」
手を伸ばしてボーイに頼む。
「蓮は昼間も働いてるんだろ?疲れてない?立ち仕事だろ?」
「相変わらず心配性なんだから…大丈夫だよ。疲れてないって言うと嘘になるけど、今日会えたから充電できたよ」
幾つもの嘘をつき、素敵な勘違いと気色の悪い可愛らしさを垂れ流し、相手の望む女を演じる。
この街で働く夜蝶の仕事だ。
肩にストールを羽織り、ラストまでいた客を見送りに外に出ると火照った肌を風が浚っていく。
「仕事が終わった後どうする?」
何かを期待しているような笑みを向けられ
「あのね…さっき店長に残ってくれって言われたの」
優しく断ると笑顔が歪んでいく。
「そっか…またミーティング?」
「うん。ごめんね。今度会うときに誘って」
手を引かれ
「どこに行くの?」
ビルの死角に連れられて抱き寄せられると唇が重なりざらついた舌が絡み、わざと甘い吐息を漏らす。
胸を押しゆっくりと体が離れると
「…もう戻らないと怪しまれちゃう」
「そうだよね。ごめん」
「またね」
小さく手を振り名残惜しいような寂しそうな顔を見せる。
小さくなっていく背中を見送って、見えなくなるとよれたグロスを指で拭い店に戻った。
隙があれば際どい所まで触ってくる客は、初めから触らせておけば多少の防御策にはなる。
「お仕事大変なのに無理してない?」
男の顔を心配そうに顔を覗き込み、わざと胸の谷間を見せる。
「大丈夫だよ。任せてきたから」
挟んである指先が肌を這う。
ボーイに呼ばれると挟んでいた手をさり気なく離し
「行かなきゃ…来たばっかりなのにごめんなさい」
目線を送って、また別のテーブルへ移動する。
見慣れた後ろ姿に胸をなで下ろし、隣に座ると
「お待たせ」
「機嫌悪そうな顔してるけど…どうかした?」
手を握り耳元で
「さっきから蓮の事、触ってくるお客さんばっかりなの」
小さく呟く。
「だからってそんな顔してちゃダメだよ。仕事なんだから」
「そうなんだけど…愚痴ちゃってごめんなさい」
「いいよ気にしなくて」
「ありがとう。でも来てくれたから良かったぁ。甘えられるのここだけだもん」
胸の膨らみを当てるように腕に絡みつく。
「蓮は可愛いな」
男は髪をそっと撫で
「何か飲む?好きなの頼んでいいよ」
「いいの?嬉しい。じゃあワインがいいな」
「好きだな。ワイン」
「うん」
手を伸ばしてボーイに頼む。
「蓮は昼間も働いてるんだろ?疲れてない?立ち仕事だろ?」
「相変わらず心配性なんだから…大丈夫だよ。疲れてないって言うと嘘になるけど、今日会えたから充電できたよ」
幾つもの嘘をつき、素敵な勘違いと気色の悪い可愛らしさを垂れ流し、相手の望む女を演じる。
この街で働く夜蝶の仕事だ。
肩にストールを羽織り、ラストまでいた客を見送りに外に出ると火照った肌を風が浚っていく。
「仕事が終わった後どうする?」
何かを期待しているような笑みを向けられ
「あのね…さっき店長に残ってくれって言われたの」
優しく断ると笑顔が歪んでいく。
「そっか…またミーティング?」
「うん。ごめんね。今度会うときに誘って」
手を引かれ
「どこに行くの?」
ビルの死角に連れられて抱き寄せられると唇が重なりざらついた舌が絡み、わざと甘い吐息を漏らす。
胸を押しゆっくりと体が離れると
「…もう戻らないと怪しまれちゃう」
「そうだよね。ごめん」
「またね」
小さく手を振り名残惜しいような寂しそうな顔を見せる。
小さくなっていく背中を見送って、見えなくなるとよれたグロスを指で拭い店に戻った。
