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♢Fallen Angel♢

第1章 APPETIZER

ベッドに凭れる源の引き締まった体に頭を埋め、優しく添えるように手のひらと指先で扱きながら先端に唇を当て舌を這わせる。
ゆっくりと味わうように小さな音をたてて舐めていく。
舌先を滑らせて口に含み音がたつほど濡らすと、時折漏れる声に合わせるように浅く深く奥まで吸い付いていると口の中で膨張し、熱くなるのを感じる。
「おいで」
唇を離して跨がると腰を掴まれ、体をゆっくり沈めると熱いものが侵入し甘い声が漏れる。
「ほら、思うように動いてみて」
「…うん」
動く度、押し広げ下から突き上げられる。
その度耐えきれず声が零れる。
仰向けに倒されて源の背中に腕をまわそうとすると、枕元で着信音が鳴り、体が反応する。
「どうしたの?…今は出先だけど?…分かった。…直ぐ戻るよ」
電話越しに甲高い女の声…
悪戯に胸の膨らみを握り、固くなった先端を指先で摘まんでは転がし何度も突き上げる。
少しずつ漏れていく甘い吐息に慌てて口を押さえ、声を殺した。
「分かってるよ。また後で」
電話を終えて枕元に戻すと、より激しく突き上げられる。
「蓮…もう…」
大きなため息と共に蓮の中で脈を打ち、体が離れると混じり合った愛液が垂れる。
髪を絡ませるように撫で
「もう、仕事に戻らないと…」
「うん…」
物足りなさに顔を埋め、愛液を絡め取るように舌を這わせていると髪を強く掴まれ
「ごめん…なさい…綺麗にしようと思って…」
指先の力が緩み体から離れると、脱ぎ散らかした服に着替える源の後ろ姿を眺めていると目が合い
「どうしたの?泣いてるの?」
首を振り
「泣いてないよ…」
指先が頬を撫で小さく唇が重なる。
「痛くした?でも蓮が悪い子だからだよ?」
「うん…」
身繕いを終えると振り返る事もなく部屋を出て行った。
ドアの閉まる音に虚しさを覚え目頭が熱くなる。
気持ちを振り切るように着替え終えてホテルから出ると白々しく夜が明けていく。

出会った時から好きな気持ちは変わらない。
でも、満たされない感情を駿の中でしか消化できなくなってしまった。

家に帰るとテーブルに空き缶が並び灰皿はタバコの山になっていた。
ソファーを覗くと
「…おかえり。遅かったね」
掠れた声のままうなだれていた体を起こし眠そうに目を擦っている。
「…悠くんの所に行ってたからね…もしかしてずっと起きてたの?」
「…うん」
大きな欠伸を零した。


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