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星光学園物語 -性行為認知校の実情-

第6章 傲慢の堕落

 私の問いのせいで前後してしまった説明を受けているとあっという間に時間が過ぎた。

「説明はこれで以上になります。何か質問はございますか?」
「大丈夫よ。分かりやすい説明をありがとう」

 私がお礼を言うと前田君の表情が崩れる。
 極力笑顔でいるように心掛けてくれていたようだけど、やっぱり緊張していたみたい。

「少し早いですが、お昼にしましょうか。宮本先生はお弁当をお持ちですか?」
「いいえ。食堂があるってパンフにあったからそこで食べようと思って」
「それならご案内します。ご一緒してもいいですか?」
「ええ。いいわよ」
「じゃあ行きましょう」

 私は前田君について一つ前の部屋に戻る。
 朝来た時にいた中年の男性の姿はなく、部屋には誰もいなかった。

「あ、宮本先生の机を案内してませんでした。こちらを使って下さい」
「分かったわ。ありがとう」

 前田君に示されたデスクに荷物を置く。
 中年男性が座っていた席から見えるように向かい合わせに置かれた二つの机の一方だ。

 私が荷物を置いたのを確認すると前田君は私を先導するようにして食堂に連れていってくれた。



 まだ授業中という事もあってか、食堂には人がいない。
 いるのは厨房にいる中年の女性スタッフ達だけだ。
 前田君が厨房を覗き込むように見ると一人のスタッフが出てくる。


「おばちゃん、もう大丈夫?」

 慣れ親しんだ相手だからか、前田君の口調も軽い。
 本来の高校生ってこんな感じだと思う。

「いいわよ。今日はお仕事?」
「はい。宮本先生が今日からなので学園の事を説明していたんすよ」
「宮本です。よろしくお願いします」
「私、ここの厨房で働かせてもらっている柏です。宜しくお願いしますね」

 流れで前田君に紹介されて、私は頭を下げる。
 柏さんも合わせて頭を下げてくれた。

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