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「美奈代、これをアイツに渡してやってくれ」
「はい。先生」


　教室から出てきた遠藤先生からカバンを受け取る。
　その中には大量の菓子パンが入っていた。


　あたしが中身を確認していると遠藤先生があたしの頭を撫でてくれる。


「今日の放課後はお前を可愛がってやるからな。ちゃんと濡らして準備しとけよ」
「はい。分かりました」


　遠藤先生はそれだけ言い残すと職員室の方に歩いて行った。
　あたしはそのまま教室から彼女が出てくるのを待つ。


　しばらくすると彼女がフラフラしながら出てきた。
　一睡も出来ていないのが明確な程に酷い顔をしている。



「なんか用かよ？」
「遠藤先生から貴女に渡すようにって」


　あたしが菓子パンを差し出すようにして渡すと彼女はそれを一つ受け取ってその場で食べ始めた。
　凄い勢いで食べ終わったかと思うと、あたしの手からさらに二つの菓子パンを取った。


「これだけでいい」


　彼女はそう言って私の横を素通りして教室に向かって行った。


　あたしはそれを見送ってから自分の教室に向かった。