テキストサイズ

星光学園物語 -性行為認知校の実情-

第2章 知名と長の堕落

「会長、ごめんなさい」


 尾崎君は落ち着いたのか私に謝る。
 私は口を拭いながら、尾崎君の隣に座った。


「やっぱりこんな事して何がいいのかわかんないです。完全に八つ当たりですよね」
「いいのよ。尾崎君が他の子を襲うような事にならなくて良かったわ」


 これが私の本心だった。
 もし尾崎君が他の子を襲うような事になればまた悲しむ人が生まれる。
 その悲しみは徐々に広がっていってしまったかも知れない。
 それを思えば、私に不満を吐き出してくれた方がいいのだ。


「ねぇ。尾崎君。君みたいに被害に合ってる子他に知らないかな?」
「少しなら知ってますけど」


 尾崎君だけじゃない。
 彼らのせいで悲しみや怒りを抱えている生徒は多いように思う。
 私は発散してもらえるならそれも良いかもしれない。


「その子達に声をかけて。明日の放課後、生徒会主催の祭に参加してって」
「え?でもあれって確か新入生向けでしょ?」
「今年は変えるわ。私達生徒会では真壁君達のような生徒は根絶できない。だからせめてその怒りや悲しみをぶつけられる相手になるの。お願い出来るかしら?」
「…………分かりました」


 尾崎君は承諾して立ち上がる。
 必然的に私はそれを見上げる形になった。


「今日はありがとうございました」


尾崎君はそう言って私の前から姿を消した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ