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不器用なくちびる

第12章 再会

けれど
それはほんの一瞬で。

彼の後ろから女性の声がするのと同時に
わたしの身体は彼の腕で
引き離されていた。


「おじゃましま〜す!
あ!栞ちゃん〜!聞いて聞いて!」


私の耳もとにくちびるを寄せ
瑞希ちゃんがささやく。


「あれからやっと彼にOKもらったの!
あとね、びっくりしたんだけど
彼、葉子先輩の弟なんだって!」



……………………



それから私は…
引き継ぎの話も上の空で。
橘くんも終始無言で。

葉子先輩はただならぬ空気を
感じているらしかったけど…

ルンルンの瑞希ちゃんだけが
1人でずっと話をしていた。

しばらくすると…
葉子先輩は話を切り上げて
2人を先に返してくれた。

2人は今からデート…なのかな…

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