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不器用なくちびる

第7章 願い

「風が気持ちいいね。
私はこの島の風が大好き…」


願い事を書いてから、
香山の細い肩がずっと震えている
ような気がして…
俺はずっと気になっていた事を言った。


「俺の考えすぎだったら悪いんだけど…
あっちで辛いことがあったら
マジでちゃんと言えよ。」


「…あったらちゃんと言うよ」


海をバックに微笑む香山の笑顔は
本当に綺麗だった。

その後、灯台から祭の会場に
向かう途中、
洒落た建物の近くを通った。


「あのお家、お父さんの妹の
別荘だったんだよ。
おばさんはピアニストでね、
一年の半分くらい
生まれ育ったこの島で過ごしてたの。
私の憧れの人なんだ。」


「あ!その人の影響で…」


「そう!
たまに教えてもらってただけだけど。」

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