夏のシュークリーム
第1章 会えない日のお客様
「うわー、久し振り。お!流石 綺麗にしてるね」
次郎は感心して廊下を見渡した。ツヤツヤ輝く床板の上に、埃は一つも見えない。
「姉がいる時でも掃除は殆ど俺がやってたんで。」
潔癖症という程でもなかったが、掃除は昔から好きだった。先日嫁いでこの家を出た姉が、逆に掃除が苦手だったから、というのもあるが。
奥の方から客人を出迎えるように、丸い大きな猫がやってきた。猫はニヤーと一声鳴くと、懐かしそうに次郎の足にすり寄って来た。
「やあマグロ。またでかくなった?ちょっと食べ過ぎなんじゃないの?過保護は駄目だよ、たろちゃん」
「毛が多いだけですよ」
「どれ?」
と持ち上げようとすると、手が毛の中に埋まっていく
「うっわホントだ!」
「フカフカで気持ちいい」
ミカが撫でると、マグロは気持ち良さそうにゴロゴロと鳴いた。
「イワシは寝てるんです。お気に入りの場所が出来たみたいで、大抵はそこに。」
松井は二人を居間に通した。開いた窓から、風が吹き抜けている。暑い中、汗を流してやってきた2人には快適だった。
「気持ちいい…外は風がふいてなかったのに、不思議。」
ミカが呟く。
次郎はその理由を知っていたが、彼女の疑問には答えなかった。
何故なら、非現実的だから。
この快適な風は、風使いの血を持つ松井が起こしたものだった。
「何か冷たい物を持ってきます。
…くれぐれもこんな所で、おっ始めないで下さいね。」
一応、釘を刺しておく。
「まさか」
次郎は笑って返したが、コイツならやりかねない、と松井は疑いを晴らさなかった。
次郎は諸事情で淫魔の血が流れている。そのせいか、只の性格によるものか、いずれか分からないが、発情する場所にTPOをわきまえない。
次郎は感心して廊下を見渡した。ツヤツヤ輝く床板の上に、埃は一つも見えない。
「姉がいる時でも掃除は殆ど俺がやってたんで。」
潔癖症という程でもなかったが、掃除は昔から好きだった。先日嫁いでこの家を出た姉が、逆に掃除が苦手だったから、というのもあるが。
奥の方から客人を出迎えるように、丸い大きな猫がやってきた。猫はニヤーと一声鳴くと、懐かしそうに次郎の足にすり寄って来た。
「やあマグロ。またでかくなった?ちょっと食べ過ぎなんじゃないの?過保護は駄目だよ、たろちゃん」
「毛が多いだけですよ」
「どれ?」
と持ち上げようとすると、手が毛の中に埋まっていく
「うっわホントだ!」
「フカフカで気持ちいい」
ミカが撫でると、マグロは気持ち良さそうにゴロゴロと鳴いた。
「イワシは寝てるんです。お気に入りの場所が出来たみたいで、大抵はそこに。」
松井は二人を居間に通した。開いた窓から、風が吹き抜けている。暑い中、汗を流してやってきた2人には快適だった。
「気持ちいい…外は風がふいてなかったのに、不思議。」
ミカが呟く。
次郎はその理由を知っていたが、彼女の疑問には答えなかった。
何故なら、非現実的だから。
この快適な風は、風使いの血を持つ松井が起こしたものだった。
「何か冷たい物を持ってきます。
…くれぐれもこんな所で、おっ始めないで下さいね。」
一応、釘を刺しておく。
「まさか」
次郎は笑って返したが、コイツならやりかねない、と松井は疑いを晴らさなかった。
次郎は諸事情で淫魔の血が流れている。そのせいか、只の性格によるものか、いずれか分からないが、発情する場所にTPOをわきまえない。