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夏のシュークリーム

第2章 ヨソサマのお宅で

降りて一階のリビングに戻ると、小さなミルク色の子猫が迎えてくれた。
「もしかして、君がイワシちゃん?」
返事をするようにニャー、と一声鳴いた。
近寄って来たので、両手でそっと抱き上げる。
「かーわーいーっ」
真っ直ぐ見つめるクリクリとした飴色の瞳に、ミカの顔がだらしなく、フニャリと崩れてしまう。
手入れされているのだろう。捨て猫と聞いていた割には、毛並みがいい。


「イワシ、おっきくなったねぇ」
後ろから次郎が覗いた。

「咲ちゃんに連絡した?」
ミカはドキドキしながら、必要事項を尋ねた。
「うん。返事はまだたけど」
「来てくれるといいね。」
イワシはミカの腕の中で次郎を見つめた。
「イワシも心配だったよね」
次郎が優しく語りかけると、返事をするように、ミャーと声を出した。


夏休みに入って一週間が過ぎた。
毎日朝から夕方まで、教員になって一年目の松井は学校内部だけでなく、外部の研修もあり忙しい。

終わった後も、親睦会と称して独身の先輩方に飲み会に誘われる。
全く飲めないが、ノンアルコールドリンクも充実する昨今、それだけでは断る理由にならない。

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