好きで、好きで、好きで。
第3章 さざ波
「え~」
操はげんなりした顔で、プリン容器の底の残ったカスタードをスプーンでつついた。
和美は新聞部の部長である。
新聞部は毎月、新聞を発行して購買で販売するのだが、去年は操が野球部のエースに告白された現場を、たまたま見かけた和美に記事にされたことがある。
ピッチャーの彼は結構有名な人で人気もあったけれど、同じくらいその容姿で有名だった操に告白したというのは、良いネタだったらしく飛ぶように売れた。
ほぼ廃部危機にある和美は、とにかく毎日スクープを探していて、それが友達であろうと先生であろうと容赦なく記事にする。
だから敵をつくることも多々ある和美だけれど、彼女は全く気にする素振りはなかった。