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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

『もちろん、タダでとは言いません。 ここに小切手を用意したので、好きな金額を・・・』

『そんなもの、いりません。』

お金なんかもらったら・・・・もっと虚しくなるだけだ。

『では・・・健一が退院するまでに、部屋からも出て行って下さいね。 新しい住まいは、こちらで用意して差し上げますから。』

『結構です。 そのくらい、自分で用意できますから。』

あんな・・・真剣な顔でそんなこと言われたら、拒否できるわけない。

健一が、俺の存在を忘れていることで、幸せになれるなら・・・・
俺は、姿を消そう。

「見ず知らずの俺なんかを助けていただいて・・・・本当にありがとうございました。」

見ず知らず・・・か。 自分の言葉に傷つくなんて、俺ってバカだよな・・・

「記憶まで失わせてしまって・・・・申し訳ありません。」

「いえいえ。 気になさらないで下さい。 そのうち思い出すかもしれませんし。」

お前は・・・俺のことなんて、忘れていた方が・・・・・

「あれ? 安藤さんって、ご結婚されているんですか?」

調子いいこと言ってるけど、本当は・・・俺のこと思い出してほしい。

「こ、れは・・・」

健一が気が付いたのは、俺の左手薬指につけられた指輪。

あの日・・・・お前がくれたんだろ・・・

『愛してるよ、実咲。 俺と結婚してくれないか?』

そう言って、俺の誕生日に・・お前が・・・

「えぇ・・・まぁ・・・・婚約してました。」

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