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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

「へぇ~。 安藤さんって、料理お得意なんですね。」

「いえ・・・得意って程でもないですよ。 ただ・・・好きな人が、自分の作った料理を食べて美味しいって言ってくれたら嬉しいな。って・・・・」

そう。 最初は、そんな単純な理由で料理をし始めた。

今では、すっかり趣味になってしまっているが。

「安藤さんとご結婚されている方は幸せですね。 あいつにも見習ってほしいな。」

「・・・」

幸せだったら・・・事故なんかに遭ってないよ、健一・・・

「実咲さん・・・・とてもお綺麗な方ですね。」

「えぇ・・・そうですね。 私なんかにはもったいないくらいの美人ですよ。」

俺・・・どうして、こんなことしてるんだろう。

自分のせいで記憶喪失になった恋人の話し相手して、付き合ってる女の人のこと褒めて・・・

「あ・・・すみません。 俺、これから用事あるので・・・・」

「お忙しそうですね。 なにかあるんですか?」

これ以上ここにいたら、絶対泣くな。

そう思って席を立とうとしたら、健一がそう聞いてきた。

「えぇ・・・まぁ。 その・・・・引っ越しの最中で・・・・」

「お引っ越しですか? やっぱり、彼女さんとですか?」

なんの悪意もないことはわかってる。 わかってるけど、やっぱり・・・・

「っ・・・いえ・・・・一人暮らしを始めるんです。 恋人とは・・・もう・・・・」

俺の答えを聞いた健一は、「しまった。」という顔をした。

でも、まぁ・・・事実だし。

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