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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

ドアを少し開いた手が、ピタリと止まる。

結婚って・・・

「愛してるんだ、実咲。」

「健一・・・」

狭いドアの隙間から、二人が抱き合っているのが見えた。

「・・ッ・・・・」

・・・気が付いたら、健一の病室ではなく、病院の屋上に来ていた。

でも、天気はあいにくの雨。

「はは・・・ッ」

まるで、空が俺の代わりに泣いているみたいだ。

「・・っ・・・ぅ・・・」

なんで泣いてるんだよ。 当たり前のことじゃないか。

結婚して、子供作って、幸せな家庭築いて・・・

これでいいはずだろ?

「健、一・・ッ・・・」

・・・・嫌だ・・・

健一が、他の誰かと結婚するなんて・・・

「健一っ・・・・健い・・・ッ・・・」

どうして、俺・・・健一を好きになってしまったんだろう?
健一と出会わなければ、こんなつらい思いをしなくて済んだのに、どうしてっ・・・・

「・・・っ・・け、ん・・・」

涙が頬を濡らす中、きらりと光る指輪が目に入った。

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