テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

『愛してるよ、実咲。』

健一が俺に向かって笑ってくれていた頃が、遠い昔のようだ。

もう、手の届かないくらい遠くに行ってしまった。

「健一・・・もう、俺・・・・」

健一の前から消えるよ・・・

━━━━━━━━━━








「あら。 こんにちは、安藤さん。」

「どうも。」

涙が引くのを待ってから病室に来たら、健一の母親も来ていた。

・・・なるべく会いたくなかったんだけどな。

「ちょうどよかったわ。 安藤さんにもお祝いしてほしいことがあるのよ。」

「・・・・なんですか?」

この母親・・・わかっててやってるんだろうな。
俺が、さっさと健一を諦めるように。

「健一と実咲さんが婚約したのよ。」

「ちょっと、母さん・・・」

「あら、いいじゃない。 一人でも多くの人にお祝いしてもらったほうが、あなたも嬉しいでしょ?」

照れくさそうに・・・幸せそうに笑った健一。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ