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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

「いえ・・・・申し訳ありませんが、もうここには来ません。」

「え? どうして・・・」

今は・・・その優しさがつらい。

「引っ越しが終わったんです。 この病院から結構遠いので、通うのは厳しくなるだろうと思って。」

嘘だ。 新しい家なんて、全然遠くない。

でも、もう・・・・

「俺のこと助けてくれて、本当にありがとうございました。 最後までお役に立てずに申し訳ありません。
もう二度と会うことはないと思いますから、安心して下さい。 それと・・・さっきのことは忘れていただけると嬉しいです。」

健一とお別れしよう。

これ以上、涙が溢れるのを我慢していられない。

「さようなら。」

「・・・・」

頭を下げて、病室のドアに手をかける。

「!!?」

ドアを開けようと、力を込めた時だったんだ。

「ぁ・・・」

健一に、腕を掴まれて止められたのは。

「え・・・・っと・・・あれ? 俺、どうして・・・」

「・・・」

足を骨折しているわけではないから、健一は普通に歩けるけど・・・

どうして、出て行こうとする俺を止めたんだ?

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