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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

「すみません。 体が勝手に・・・」

「・・いえ・・・」

びっくりした。 一瞬、健一の記憶が戻ったのではないかと、期待してしまった。

「あ・・」

「?」

気まずそうに視線を落とした健一は、何かに気が付いたらしい。
少し辛そうに体を屈めると、俺の落とした指輪を拾った。

あ・・・・さっき、あいつを殴った時に外れたのか? 最近、ご飯をあまり食べていないから、少し指が痩せて抜けてしまったのかもしれない。

「これは・・・」

「・・・あの・・・」

指輪を拾い上げた健一は、それを俺に返してくれるのかと思ったら、逆に固まって動かなくなった。

「ぅ゛っ・・・あ゛・・ッ・・・!?」

「「!!?」」

かと思えば、急に頭を抱えて苦しみだした。

なんだ!? 一体、健一の身になにが・・・

「健一っ!!!」

苦しみだした健一の傍に、婚約者がすっ飛んで来る。

「大丈夫!? どうし・・・」

「・・・っ・・ぁ・・・はっ・・・」

「健・・・」

思わず健一の名前を呼びそうになった時、婚約者が勢いよく顔を上げた。

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