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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

早く、帰ってくれよ・・・俺が、我慢できずに泣き出す前に。

「俺がどんな人間か、お前はよく知ってるだろ? 元々すごい遊び人なんだよ、俺は。
お前とのことだって、遊び半分だったし・・・俺は、お前のことを恋人だなんて思ったこと、一回もない。」

嘘だ。 健一は、俺にとってかけがいのない存在なのに・・・

「お前は、俺にいいように振り回されてるだけなんだよ。」

でも・・・・だからこそ、健一には幸せになってもらいたい。

「この三ヶ月だって、お前のことなんか忘れて、今まで通り遊び回ってたし。」

ダメだ・・・もう、泣きそう。

「だから、お前も俺のことなんて忘れてあの人と結婚し・・・」

「嘘つきだな、実咲。」

「なっ・・・」

俺の言葉を聞いた健一は、失望して出て行くどころか・・・

「ちょ・・」

嬉しそうに微笑んだ。

「そんな顔で言われるとさ・・・・全部、俺のことを好きって言ってるようにしか聞こえない。」

また健一に強く抱きしめられれば、もう、泣くのを我慢することなんて出来なくて・・・

「実咲・・・」

「健・・い、ち・・・」

俺の意志とは関係なしに、涙が溢れてきた。

「俺さ・・・・蓮見の一族と縁切ってきた。」

「なっ・・・!!」

どうしてそんなこと・・・せっかく、約束された将来があるのに・・・・

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