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BL~中編・長編集2~

第4章 ~Ricordo~

「はい。 熱いから気を付けろよ。」

「・・サンキュ。」

健一からマグカップを受け取り、コーヒーを口に含む。

・・・・落ち着く。

「はぁ・・・」

コーヒーって、なんでこんなに美味しいんだろう。 疲れた体に染み渡るな・・

「飲み終わったか? ほら、コップ貸して。」

「あ、悪い・・・」

健一は空になったコップを持ってキッチンに消えると、またすぐに戻ってきて、俺の隣に座った。

「・・・」

何故かすごく甘えたくなって、隣に座っている健一の肩に頭を乗せ、寄りかかる。

「どうしたんだ? いつもは、こんなことしてこないのに。」

「・・・別に。 ただ・・・ちょっと甘えたくなっただけ。」

三ヶ月振りに健一と一緒にいられるんだ。 甘えたくなるのは当たり前だろ?

「・・・・・なあ、健一。」

「ん?」

まったりした空気が流れる中、俺は昨夜から気になっていたことを健一に聞いた。

「お前はさ・・・俺なんかでいいわけ? 俺なんか遊び人で、家事ができるわけでもないし、安定した職に就いてるわけでもないしさ。 俺なんかよりいい人は、世の中にたくさんいるんだぞ?」

健一が俺を選んでくれたのはすごく嬉しいことだけど、本当にそれでいいのだろうか。

「そうだな。 実咲よりもいい人は、世の中にたくさんいるだろうな。」

あの婚約者の方が俺よりも可愛いし、料理だってできる。 将来、健一を陰で支えてくれる存在になったはず。

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