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BL~中編・長編集2~

第6章 ~大切な場所~

「やっぱ、ちょっとぶかぶかだな。 服が乾くまでの間、我慢してくれ。」

「あ、いえ・・・すみません。」

部屋の中はストーブが点いていて、雨に濡れて冷え切った体には、とても暖かかった。

「なんか飲み物淹れてやるよ。 コーヒーでいいか?」

「あ、僕・・・コーヒーは飲めなくて・・・・」

僕がそう言うと、柴犬さんはふっと笑いました。

「猫って、みんなコーヒー飲めないのか?」

「っ・・・」

その笑顔がとても綺麗で・・・一瞬、ドキッとしてしまいました。

「わかった。 ココアでいいか?」

「え、あ・・・お願いします。」

? なんだろう・・・・今の感覚・・・まるで・・・・

『おい、大丈夫か?』

初めて、カインさんの笑顔を見た時みたいな・・・

「ほら。 熱いから気を付けろよ。」

「・・ありがとうございます。」

柴犬さんが差し出してくれたココアを口に含むと、冷えた体に染み渡りました。

「はぁ・・っ・・・」

「少しは落ち着いたか?」

「・・・はい。」

っていうか、僕・・・見ず知らずの人に、こんなに迷惑かけて・・・

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