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BL~中編・長編集2~

第6章 ~大切な場所~

「・・っ・・・」

「おい、どうした?」

この感覚・・・もう、何ヶ月も忘れていたな。

そう思ったら、勝手に涙が溢れてきました。

「ごめ、なさっ・・・」

「・・・・」

困った顔をさせたくなくて、必死に涙を止めようとしたけど、そんなの無駄で・・・

「なぁ・・・お前さえよければ、ここにいる理由を教えてくれないか?」

優しい柴犬さんの言葉に、僕は今までのことを全て、この人に話してしまいました。

「・・・そうか。 そんなことが・・・」

「・・・」

全て聞き終えた柴犬さんは、急に立ち上がりました。

「よし。 出かけるか。」

「・・え?」

出かけるって・・・

「今日は、誕生日なんだろ? いい天気だし、出かけようぜ。 それで、一生忘れられないような、最高の誕生日にしよう。」

柴犬さんはそう言うが早いが、ささっと着替えると、僕を外に連れ出しました。

「任せとけって。 俺、面白い場所いろいろ知ってるから。」

「ちょっ・・・」

この人の辞書には、人の話を聞くという言葉はあるのでしょうか。

「・・・ははっ!!」

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