テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第7章 ~恋はWANダフル~

慌てて黒川さんから離れ、帰り支度を始める。

「えっ? 帰っちゃうの?」

帰り支度を始めた俺を見て、黒川さんが不安そうに聞いてきた。

「うん…泊めてもらうのも申し訳ないし…それに、あんなことした相手泊めるの怖いでしょ?」

黒川さんの顔を見れず、下を向いたままそう答えると、玄関に向かった。

「申し訳ないんだけど、今日だけ子犬預かってもらえる? 明日仕事が終わったら引き取りに来るから。」

靴を履きながら黒川さんにそう頼むと、ゆっくりと立ち上がった。

「…お邪魔しま…!?」

一刻も早くこの気まずい雰囲気から逃げようと、ドアノブに手をかけると、黒川さんが俺の腕をグイッと引っ張ってきた。

「? 黒川さん? どうかした?」

「…………で…」

「え?」

黒川さんが何か言ったが、声が小さくて聞き取れない。

「行かないで…」

顔を覗きこめば、黒川さんは今にも泣きそうで…

「僕を一人にしないで…」

そう言い、ギュッとコートを握りしめてくる黒川さん。

ヤバい…これだけで、理性切れそう。

「大丈夫だよ。 子犬もいるし、黒川さんは一人じゃないよ。」

今日知り合ったばかりの俺にすがってくるなんて、一人暮らしは不安なことが多いのか…彼が元々甘えっ子なのかな?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ