テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第11章 ~恋の公式~

「わかってたんだけどな。 あいつにとって、俺達の六年間なんてほとんど意味なんてなかったことくらい。
たった一言で終わるくらい、簡単な関係だったんだって。
でも・・・」

覚悟はしていた。 あいつにとって、俺は・・・・セフレの中で一番便利ってだけ。

「改めて目の前でそれが現実として起こると、やっぱりショックだったっていうか・・・あいつにそんなこと期待する自分がバカなんだってことも、あいつが俺と関係を続けてたのは、俺が一番便利だったからだっていうこともわかってる。
だけど、それが現実として突きつけられると・・・その・・・・」

頭ではわかってる。 だけど、気持ちがついて行かない。

「自分の気持ちがついて行けないんだろ? で、覚悟していたつもりが出来ていなかった自分に失望していると。」

「・・・あぁ。」

想像していた以上にショックを受けている自分に驚いて・・・・でも、それと同時に人に心配をかけてしまう自分に嫌気がさして・・・

「ま、当然だろ。」

「え?」

当然って・・・今の俺の状態が?

「いくら覚悟してたからって、好きな人との関係が終わるってのはショックを受けて当たり前なんだよ。 それが六年も想ってた相手なら、ショックはそれだけでかいに決まってるだろ。 基本的に他人に隙を見せないお前が、誰が見てもわかるくらい落ち込んで、さっきそれを隠しきれなかった。
あの人のことを、本気で想ってた証拠だ。」

「本気で想ってた証拠・・・」

俺は・・・・いつの間にそんなに・・・

「お前が仕事をきちんとこなそうとしてるのはわかるけど、少しくらいは頼れよ。 ただの同僚ってだけじゃなくて、お互いの少し特殊な恋愛状況も知ってる仲なんだし。 他の奴らには言えない事情なわけだし、こういう時くらい、俺を頼れよ。」

「・・・・あぁ。 悪いな。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ