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BL~中編・長編集2~

第11章 ~恋の公式~

こんなにうまいカクテル、久しぶりに飲んだな。

「こんなにうまいの、久しぶりに飲んだ。」

「ふふふ。 人を褒めるのがお上手なんですね。」

「本心ですよ。」

マスターもいい人そうだし、雰囲気もいいし、かなり当たりの店だと思う。

「ここのマスターは聞き上手でさ。 俺も、よく仕事の相談に乗ってもらってるんだ。」

「そうなのか。」

たしかに、話しやすそうな人柄をしていそうだ。

田中がこの店に飲みに来るのも、この人の人柄もあるんだろう。

「田中さんとは同じ会社で働いていらっしゃるんですか?」

「あ、はい。 田中とは同期で。」

会社での話や、仕事での失敗談を面白おかしく話す田中。 それに厳しい突っ込みをするマスター。
三人で笑いの絶えない談笑をしていたら、気が付けば終電が近い時間に。

「もうこんな時間か。」

「早いですね。」

「そろそろ終電の時間だな。」

久しぶりに、こんなに楽しい酒を飲んだな。

「今日はお開きにしますか。」

「だな。 明日も仕事だし。」

ちょっと名残惜しいけど。

「マスター、ごちそうさま。」

財布を出そうとすると、その手を田中が止めた。

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