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BL~中編・長編集2~

第11章 ~恋の公式~

『・・・仁・・』

俺は・・・あいつの名前を呼びながら、涙を流していたのだ。

『仁って・・・』

それを聞いた田中は、最初は信じられなかったらしい。

当然だ。
まさか、俺の好きな人が男・・・それも、自分達の上司だなんて、誰が想像できる?

・・・とにかく、俺が起きる気配もないし、マスターにもこれ以上迷惑をかけられないと判断して、近くのホテルまで、俺を運んでくれた。
ベッドに寝かせ、スーツを脱がせようとした時、俺が目を覚ましたらしい。

・・・・・で、寝ぼけていたのか酔っていたのかわからないが・・・
俺は、泣きながらあいつの名前を何度も呼び、自ら田中にキスをしてしまったようだ。

最初は田中も抵抗していたが、俺に流され、俺を抱いてしまった。

朝起きたら俺がいなかったので、慌てて会社に来たらしい。

「・・・・嘘だろ・・?」

じゃあ・・・俺から誘ったのか・・・・?

「・・・・」

最悪だ。 傷心した自分を慰めるために、俺は同僚を利用したのか?

「田中・・・悪かったな。 俺・・・・」

「いや。 不謹慎かもしれないけど、俺・・・嬉しかったんだ。」

嬉しかったって・・・

「こんな時に言うのはずるいってわかってるけど、俺・・・・お前の事が好きなんだ。」

「・・・・は?」

今・・・田中は何て言った?

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