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BL~中編・長編集2~

第12章 ~捨て犬拾いました~

「ふぅ~…」

自分が吐き出し、消えて行く煙をぼーっと見つめる。
しばらく、そんなことを繰り返した。

『なんでもするから泊めて。』

治療を終え、目を覚ましたあいつが一番最初に言った言葉。

「はぁ…」

たぶん、あいつはそうやって生きてきたんだと思う。

言われた後に話を聞いたら、家出してて、泊まる場所も金もないんだと。
あの日リンチされてたのは、声をかけた男達にやられていたらしい。
たしかに『なんでもするんじゃなかったのかよっ!!』って言われてたしな。

「…もう上がったのか?」

「……うん。」

風呂から上がってきたあいつは、数少ない自分の服を着てるんだけど…

「また、そんな薄い服着て…」

「………」

春とか秋に着るような、うっすいシャツを着て、髪から水を滴らせているあいつ。

「ほら、俺のパーカー着ろ。 あと、髪もちゃんと乾かせよ。 風邪引くだろ。」

タンスの中からパーカーを引っ張り出し、あいつに着せてから、部屋にあるソファに腰かけ、目の前の床に座るよう指示する。

「あ、ちょっと待ってろよ。」

あいつを座らせ、ドライヤーを取りに洗面所に向かう。
先程まで来ていたあいつの服は、洗濯かごではなく、綺麗に畳まれて棚の上に置いてあった。

…洗濯したら、明日着る服がなくなるのか…

「悪い。 待たせたな。」

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