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BL~中編・長編集2~

第12章 ~捨て犬拾いました~

最初は戸惑っている様子だったあいつも、少しだけ嬉しそうなトーンの声を出すようになっていて…
俺は、それが妙に嬉しかった。

「ハンバーガー買ってさ、公園で食うか。」

「…うん。」

店内は混んでいたし、どのくらい待たされるかわからなかったので、持ち帰りでハンバーガーを購入し、家の近くにある公園で食べることに。
腹いっぱいになったら、動くの面倒だろうし。 あいつ、家にこもりっきりだったから、たまには外の空気吸いながら飯食うのも悪くはないかな…と。

というわけで、某有名チェーン店でハンバーガーを買い、片手に買った洋服。 もう片方の手に昼食を持ち、電車に乗り込む。

「これでもう、ぶかぶかの洋服着ないで済むな。」

「……うん。」

まあ、俺としてはちょっと寂しいんだけどさ。

「ぶかぶかの洋服着てるお前も可愛かったから、残念だな。」

「………」

俺の言葉に驚いたのか、照れてるのか、あいつは目を丸くした後すぐにうつむいてしまった。

「「…………」」

最寄り駅で電車を降り、公園に向かう間も無言。
不思議なことに、あいつとの間に流れる無言の空気は心地よい。

「ほい。」

公園のベンチに腰かけ、二人並んでハンバーガーを頬張る。

休日の満員電車でもみくちゃにされ暑かった体も、冷たい空気が突き刺さるような気温の中でハンバーガーを食べていたら、急激に寒くなってきた。

「あ~…寒いな…そろそろ帰るか。」

「……うん…あの…」

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