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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

『じゃ、今日は終わり。 気を付けて帰れよー。』

『あ、あのっ…』

『?』

ちゃ、ちゃんと、さっきのことお礼言わなきゃ…

『さっ…きは、ありがとう…』

『あ? あぁ…気にすんな。』

あ…れ…?
なんか、さっきと印象が違うな…

『じゃ。』

『あ、ば、バイバイ!!』

さっさと帰ってしまった一颯君。

『ちょっと!! さっきのカッコよくなかった!?』

『カッコよかったよね!!』

一颯君が帰ってしまうと、クラスの女子が騒ぎ始めた。

『私、恋はっけ~ん!! 協力して?』

『え? う、うん。 もちろん!!』

うわー。 すごいな、一颯君。
もうファンができてる。

『詩音、帰ろうぜ。』

『あ、う、うん!!』

あ…僕、委員どうしよう…
考えてなかったな。

『お待たせ!!』

『おし。 帰るか。』

まあ、どうにかなるか…






「はよ、詩音。」

「あ。 京ちゃん、おはよー。」

いつものように、京ちゃんと挨拶を交わす。

「ねえ…九重君。」

声をかけられ、そちらに目を向けると、同じクラスの女子が数人。

「な、なに?」

ぼ、僕…何かまずいことでもしちゃったかな?

「お願いがあるんだ。」

「え?」

お願い? 僕に?
話したこともないのに?

「あ、あのね…私、沖田君のことが好きで…」

あ、沖田君っていうのは、一颯君のことね。

「それで…九重君、沖田君と席隣だから、協力してくれないかな…って。」

「え? でも、僕…そんなに仲良くな…」

あの日から…一颯君とは、挨拶しか交わしてない。
何度も話しかけようと思ったんだけど、なんとなくだけど…僕、嫌われてる気がするんだよね。

「お願い!!」

引き受けたところで、協力できるかわからないけど…

「わ、わかった…けど…そんなに協力できるかはわからな…」

「ありがとう!! 九重君って、優しいね!!」

「ぁ…」

だ、大丈夫かな…? あんまり、僕の話聞いてなかったみたいだけど…

「あんなの引き受けて大丈夫か?」

「わかんない…でも、断るのも怖かったし…」

友達何人か引き連れてたし、きっと、僕が頷くまで引き下がらなかっただろうし。

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