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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「うーん…」

放課後…いろいろと文化系の部活を回ってみたんだけど、どうもしっくりくるものがない。

ずっとピアノやってるから、音楽系がいいなって思ってたんだけど、吹奏楽部だとピアノはあんまり出番ないし…
でも、他の楽器はできないしなぁ…

「失礼しまーす…」

うちの学校は、音楽室がいくつかあるんだ。
さっき吹奏楽部は見てきたから、他にもなにか音楽系の部活が活動してないかな…と思って、『第二音楽室』と書かれている教室の扉を開けた。

「あれ…?」

なんだ…なにも活動してないや。
音楽系って、吹奏楽部しかないのかなぁ…?

「………」

時刻は四時半過ぎ。
夕焼けに照らされた音楽室は、オレンジ色に染まっていて、とても幻想的な雰囲気を醸し出している。

吹奏楽部が使ってる音楽室よりは少し小さめだけど、グランドピアノも置いてあるし、響きも悪くなさそう。

ちょっとだけなら…いいかな…?

「…うん…綺麗な音…」

使われてないってわけではなさそう。
ちゃんとチューニングしてあるし、音の響きもいい。
むしろ、きちんと整備されている。

「………もう少し…」

誰か来るかもしれないということも忘れ、僕は一番好きな曲を弾き始めた。
僕がピアノを始めるきっかけになった曲。

「何してんだ?」

「っ!!」

夢中で弾いてたら、誰かが扉を開ける音に気がつかなかった。
声をかけられ、慌てて弾くのを止め、椅子から立ち上がる。

「あ、ご、ごめんなさ…」

扉の方を振り返ると、入り口に立っていたのは、予想外の人だった。

「い…ぶき…君…」

どうしてこんなところに…?
それに、一颯君が持ってるのって…サックス…?

「お前…ピアノ弾けるのか…?」

「へ?」

怒られると思ってたのに、一颯君が口にしたのは、僕に対する質問。
予想していなかったことだったので、僕は何を言われたのかわからず、少しの間ポカーンとしていた。

「さっき、弾いてたよな?」

「ぇ? あ、う、うん。」

答えない僕を見て、もう一度質問してきた一颯君。
僕は、緊張のあまり、頷くので精一杯。

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