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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「ジャズ…やってたのか?」

「あ…う、うん。 お、お父さんがジャズやってるから、その流れで…」

ど、どうしよう…普通に話せない。
だって、一颯君には嫌われてるし、挨拶くらいしか言葉を交わしたことがないから、どんな顔して話せばいいのかわからない
よ…

「いい音だな。 リズム感も悪くないし…」

僕の側にやって来た一颯君は、そう言ってピアノを撫でると…

「俺が会ったジャズピアノ奏者の中で、一番上手い。」

「え…」

僕に向かって、優しく微笑んだ。

「そ、そそそんなわけないよ!! 僕なんかより、上手い人はたくさんいるしっ!!」

初めて僕に笑顔を向けてくれた一颯君に、僕はすっごい動揺しちゃって、せっかく褒めてくれた一颯君の言葉を全力否定。
慌てふためく僕を見て、一颯君は吹き出した。

「あははっ!!」

「……へっ!?」

もう……僕、パニック状態。

だ、だだだだって、一颯君が僕を見て笑ってる!?
友達といる時みたいに、声を上げて笑ってるんだよ!?

「お前っ…ツボだわ…」

「え!? えっと…あのっ…」

しばらく笑っていた一颯君は、パニック状態であたふたしている僕の頭にポンポンと手をおいて、僕を落ち着かせそうとしてくれた。

「っ…」

そして、ものすごーーく優しく微笑む一颯君に、僕の心臓が「ドクンッ」と重く脈を打った。
…と思ったら、いつもよりも明らかに速いテンポで脈を打ち始めた。

「?」

なんでだろ? 一颯君が初めて笑顔見せてくれたから、緊張してるのかな…?

「なぁ…さっき弾いてたのって、『In The Mood』だよな?」

「へっ? あ、えっと…うん。」

なんで知ってるんだろう?
有名な曲だけど、ピアノ聴いたくらいじゃわからないと思うんだけど…

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