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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「詩音!!」

「京ちゃん!! おはよー。」

次の日。
昨日一颯君と少しだけ仲良くなれた僕は、ルンルン気分で登校。
学校の門の前で、京ちゃんに呼び止められた。

「? 今日は機嫌いいな。」

「そ、そう?」

バレちゃった。
僕って、そんなにわかりやすいかなぁ…

僕を見て首を傾げた京ちゃんに、僕も首を傾げた。

「なんかいいことあったのか?」

「うん。 ちょっとね。」

朝早いせいか、人もそんなにいないので、そのまま校門で立ち話。
教室行けばいいのにって思うかもしれないけど、京ちゃんはバスケの朝練に行くらしい。
少しだけ時間あったから、昨日のことを話そうと思ったんだ。

「昨日ね、文化系の部活回ってたんだけど…」

「詩音、おはよう。」

「「!!」」

この声…

まさかと思って振り返ると、そのまさかが…

「い、一颯君!?」

まさか、こんな時間に、こんな場所で会うと思っていなかったので、僕は目の前の光景が信じられなかった。

「お、おは、おはよう!!」

「あぁ。」

ものすごいキョドってる僕を見て、一颯君は笑いを堪えながら頷いた。
返事は昨日までと一緒なんだけど…昨日までとは、全然違う。
素っ気なさがなくなった、優しい返事。

「は、早いね!! 今日はなにかあるの?」

「いや、毎日この時間に来て、楽器吹いてるんだ。」

そ、そうなんだ…だから、あんなに楽器上手なのか。
朝練してるから、いつもチャイムが鳴る五分前くらいに、教室に来るんだ…

「詩音は? いつもこんな時間に来てるのか?」

「あ、ぼ、僕は…そのっ…き、今日は、少しだけピアノ弾こうかなって…思って…」

昨日、一颯君が吹いていた曲をもっとちゃんと練習しようと思って、今日はいつもより一時間くらい早く家を出たんだ。
昨夜、お父さんに付き合ってもらって練習したんだけど、そのことを忘れないうちにもう一回弾きたいな…と思って。

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