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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「そうなのか? じゃあ、一緒に行くか。」

「う、うん!!」

京ちゃんに別れを告げ、一颯君と一緒に音楽室に向かう。
一颯君と話している僕を見て、京ちゃんはすごく驚いていたけど、
『新しい友達ができてよかったな。』
って、一颯君と少しだけ仲良くなれたことを、喜んでくれた。

「一柳と仲いいんだな。」

「へっ? あ…う、うん。 中学から一緒だから…」

京ちゃんがいなかったら、僕は今頃どうしていたんだろう?
絶対、一人で過ごしてたよね…
き、きっと…京ちゃんがいなくても、一颯君とは友達になりたいって思ってたんだろうけど…

「いつも一緒に来てるのか?」

「う、ううん。 今日は、たまたま…校門の前で会っただけだよ。」

一颯君、京ちゃんのこと気になるのかな?
なんか、さっきから京ちゃんのことばっかり聞かれてる気がするんだけど…
気のせい? さっき、京ちゃんがいたから話題に出してるだけかな?

「…そうか。」

なにか考え込んだ様子の一颯君は、それ以上京ちゃんについては触れず、他愛もない話をしてくれた。
ジャズサックス奏者は、誰が一番好きなのか。とか、いつかプロの人と演奏したい。とか。

朝早いせいか、校内は閑散としていて…
まるで、二人きりの世界に来たかのような感覚に陥った。
そして、やっぱり…

「…っ…」

僕は、楽しそうに話す一颯君を見て、ずっとドキドキしてた。
いつも、教室で友達やクラスメイトに向けて浮かべているのとは、また違う笑顔。
その笑顔を見てると、自然と僕まで笑顔になって…

「じゃ、俺楽器出してくるから。」

「うん!!」

なんだか、一颯君と仲良くなれたみたいで、すごく嬉しかった。
どうしてドキドキするのかはわからなかったけど、たぶん、まだ緊張してるだけなんだと思う。
京ちゃんの時も、慣れるまでは緊張してドキドキしてたし。

一颯君の準備ができるのを待ってる間、昨日お父さんにアドバイスをもらい、いろいろ書き込んだ譜面を取り出す。
僕のお父さんは、プロのジャズサックス奏者なんだ。
あ、一颯君とは違って、テナーサックスっていうサックスを吹いてるんだけどね。
ソロが上手く吹けないって一颯君が悩んでることを相談したら、ソロのコツと、そこのピアノの弾き方を教えてくれた。

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