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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「それに、女の子にそんな大変そうな委員押し付けられないよ。」

「私はっ…」

「ね? 詩音。」

高羽さんの反論を聞く前に、僕に話を振ってきた一颯君。

「え、えっと…」

高羽さんには、協力しろって言われてるから、協力してあげたいんだけど…

「………」

い、一颯君の優しい笑顔が怖いです。
なんて言うんだろう…なんか、こう…「もちろんやるよな?」的なことが、顔に書いてある気がするこの笑顔。

「……………はい…」

有無を言わさぬ笑顔って、こういうものを言うんだな…と、一つ勉強になりました。

「そういうことだから、クラス委員は俺達二人でやるよ。 二人は、空いてる委員についてもらってもいい?」

「で、でも…やっぱり、苦手なことを無理にやらせるのは、九重君がかわいそうかな…って思うんだけど…」

ずいぶん粘るね、高羽さん。
そんなに、一颯君と一緒にクラス委員やりたいのかな?

って思いながら二人を眺めていたら、目が合った高羽さんにきつく睨まれた。
まるで、「ちゃんと協力しなさいよ!!」って言ってるようだった。

そ、そんなこと言われても…一颯君に反論できる理由が、僕にはないんだよぉ…

「大丈夫。 俺もちゃんとサポートするし。 だから安心して?」

「………う、ん…」

とうとう、高羽さんが折れた。
一緒にいた友達も何も言わなかったし、これでよかった…のかな?

「じゃあ、そういうことで。」

一颯君がにっこりと優しい笑顔を向けると、高羽さんは渋々自分の席に戻って行った。
戻る際に、思いっきり僕のこと睨んでたけどね…

「ごめんな?」

「へ?」

高羽さんが席に戻ったのを確認してから、一颯君は僕に謝ってきた。
僕はなにに対して謝られたのかわからず、頭の中は「?」でいっぱい。

「クラス委員なんて、やりたくなかっただろ?」

あ、そのことか…
そんなに、高羽さんとやりたくなかったのかな?

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