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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「う、ううん。 そろそろ人前に出ることに慣れないとなって、思ってたから…」

親にも、京ちゃんにも言われたんだ。
少しずつ、人前に出ることに慣れろって。
別に、ジャズをやってる時は平気なんだけどね。 どんなに長いソロがあっても、この間みたいに、ガチガチに緊張したりしない。
むしろ、いろんな人に聴いてもらいたい!!って思うのになぁ…

「そうか。 ならよかった。」

「………」

もし…一颯君が、高羽さんのことを避けたくて、僕にクラス委員の話を持ちかけたなら?
僕は、高羽さんに協力していいのだろうか?
一颯君が嫌がるようなことは、したくない。

「詩音? どうした?」

「あ、な、なんでもない!!」

考えすぎ…かな?
高羽さんには協力するって約束したけど、一颯君は友達だから、一颯君の気持ちを優先したい。

「…………」

友達――?

「?」

なんだろう? 今、何か違和感を感じたような…
京ちゃんには、こんなことなかったんだけどな。

「…………」

僕は頭をフル回転させて一颯君に対する違和感について考えていたから、高羽さんにきつく睨まれていることに、気がつかなかった。







「九重君、ちょっといい?」

「え?」

次の授業は移動教室だったから、京ちゃんと一緒に行こうと思ってたんだけど…
京ちゃんのところに行こうとした僕に声をかけてきたのは、高羽さん…の友達。
高羽さんは、友達二人の後ろでうつむいている。
ちなみに…その友達二人は、昨日高羽さんが一緒にいた子と、今朝一緒にいた子。

「話があるんだけど…」

い、嫌な予感しかしないよ~…絶対、今朝のことだよね?
京ちゃんは気づいてないみたいだし、一颯君は友達と先に行っちゃったし…
ど、どうしよう…

「ここだと話しにくいから、移動してもいい?」

な、なんで女子って、集団で来るんだろう?
怖いんだけど…


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