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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「あんた達となんて、二度と関わりたくないわ!! 気持ち悪い!!」

教室を飛び出して行ってしまった。

う、うわ…怒らせちゃったよぉ…明日、みんなに言いふらされてたら、どうしよう…
僕はともかく、一颯君や先輩達まで…

「すごい捨て台詞だったな。」

「か、楓先輩…」

面白そうにクスクス笑う先輩。

わ、笑ってる場合じゃないよぉ…高羽さんを止めないと、明日から大変なことに…

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。」

「で、でも…」

「大丈夫だって。」

楓先輩は、いつものように優しく微笑んだ後、まだ咳き込んでいる棗先輩を引っ張って、教室を出て行ったんだけど…出る時に一言。

「あとはごゆっくり。 でも、オーディションには間に合うように来いよ。」

だって。
一緒に行けばいいのに…と思って、後を追いかけようとしたんだけど、一颯君に後ろから抱きしめられ、できなかった。

「い、いいい、一颯君!?」

「…………ごめん。」

「え?」

急に謝られて、僕の思考は完全に停止。
だって、わからなかったんだ。 一颯君が、一体なにに対して謝ってるのか…

「詩音のこと…護ってやれなくて。 あいつに…嫌なこと、たくさんされただろ?」

「っ…」

一颯君……そんなの…一颯君が気にすることじゃないのに。
どうして、一颯君は…そんなに優しいの? 僕、泣きそうだよ。

「謝らないで。 僕…全然大丈夫だし…それに…」

一颯君が、僕のこと心配してくれただけで十分だよ。

「京ちゃんが、護ってくれてたし。」

「………詩音…」

「はぁ~…」と、大きくため息をついた一颯君。

あ、あれ? 僕、なにかまずいことでも言ったかな?

よりいっそう強く抱きしめられ、一颯君は耳元で弱々しく囁いた。

「今、他の男の名前出すなよ…」

って。
きょ、京ちゃんの名前出したらまずかったかな?
で、でも…なんで京ちゃんの名前出したらダメなの?

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