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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「顔見せて。」

「む、無理!!」

絶対無理!! こ、こんな恥ずかしいの初めてだし、心臓バクバクいってるし、顔すっごい熱いし、頭の中ごちゃごちゃだし…

「詩音。」

「っ…」

優しく名前を呼ばれて……抵抗する力も弱まってしまった。
ゆっくりと腕をどかされ、真っ赤になっている顔を一颯君に晒しちゃった。

「……嬉しい。」

「? い、一颯…君…?」

静かにそう呟いた一颯君。
気づけば、一颯君の顔が目の前にあって…

「!?」

もうすぐ唇が重なる…って時だったんだ。

「おーい。 さっさと来ないと、オーディション終わるぞ。」

「!!!?」

楓先輩が、教室に入って来たのは。
心臓が止まるんじゃないかってくらいびっくりして、言葉も出なかったよ。

「あ、邪魔したな。 悪い。」

「せ、せせ、せん、せせせんぱっ…」

「早く来いよ。 強制的に一般の方に行きたいのか?」

「い、今すぐ行きますっ!!」

先に教室を出て行った先輩の後を追おうと、慌てて一颯君と離れたら…

「!? いぶっ…」

腕を掴まれ、後ろに引かれたと思ったら…

「っ!?」

今…唇に、柔らかいものが…

「今は邪魔されたけど…次は覚悟しておけよ。」

「―――~っ!!!?」

な、ななな、なに、なに言って…

「ほら、行くぞ。」

「ぅえ!? あ、う、うんっ!!」

大パニックを起こしている僕を見て面白そうに笑った一颯君は、僕の手を引いて教室を出た。
音楽室に向かう間、今まで見たこともないくらい、一颯君が嬉しそうにしていて…

「………へへっ。」

僕もそれが嬉しかったのは、一颯君には内緒です。

―――――――





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