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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

あれから少しして…
一颯君と付き合うことに慣れてきた頃、先生から重大な発表があった。

「高羽は、今週いっぱいで転校することになった。」

「え…」

高羽さんが、転校? そういえば、最近学校に来てな…

「親の転勤だそうだ。 みんな、挨拶しておけよ。」

そうだ。 あれからどうなったか、知りたいよね?

一颯君に気持ちを伝えた次の日…僕は、高羽さんが言っていたことを不安に思いながら登校した。
僕と一颯君のことを、みんなに言いふらしているんじゃないか。って。
だけど、僕の想像とは正反対のことが起きたんだ。 朝練の後、教室に行ってみると…何故か、高羽さんはクラスの全員から避けられていた。

先に教室に来ていた京ちゃんに聞いたら、高羽さんは、僕と一颯君が付き合っていると、朝からクラスのみんなに言って回っていたんだって。 だけど…クラスのみんなは、僕達ではなく、高羽さんを軽蔑してしまったらしい。 実は、高羽さんのしていたことが前日のうちにLINE上でバラされていたようで…誰も、彼女の味方についてくれなかったんだって。 もちろん、あの二人も。

むしろ、そんな噂を流してまで、一颯君と付き合いたいのかと、評価は下がる一方だったみたい。
あの二人も、他に友達を作ってしまい、高羽さんはクラスで完全に孤立。 ここ数日姿を見ていなかったけど、まさか、入学して一ヶ月で転校なんて…


「詩音!!」

「あ!! 楓先輩!!」

朝のSHRも終わり、授業の準備をしていたら、教室に楓先輩がやって来た。
あ、言ってなかったけど、僕も一颯君も、オーディションに合格したんだ。

「これ、コンクールでやる曲。」

「わざわざありがとうございます。 言ってくれれば、僕、自分で取りに…」

先輩に持って来させるなんて、失礼な気がしたから、そう言ったんたけど…
楓先輩は、僕の後ろを見て面白そうに笑うと、いつものように頭を撫でてくれた。

「いいのいいの。 面白いからさ。」

「???」

面白い? なにが?

不思議に思って首を傾げていると、楓先輩の後ろから棗先輩がひょっこり姿を現した。

「詩音の彼氏。」

一颯君が…面白い?

それでもわからずに「?」を浮かべていると、後ろからにゅっと手が伸びてきて…

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