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BL~中編・長編集2~

第14章 ~番外編③~

「ん!! うまい!!」

「……よかった…」

褒めてやると、ほっとした表情を浮かべる幸。 少し嬉しそうにしているところが、たまらなく可愛い。
最近の幸は、少しずつだけど、いろんな表情を浮かべるようになっていた。
たぶん、俺にしかわからないくらい少しだけだけど。

「ふー…食った食った。 ごちそうさま。」

「……ごちそうさまでした。」

きれいに食べ終えた皿を持って、キッチンに入って行く幸。 間もなく、皿を洗ってる音が聞こえてきた。
俺はというと、食後の一服。

「ん? もう洗い終わったのか?」

「…………ん…」

タバコを半分も吸い終わらないうちに、キッチンから戻ってきた幸。
まあ、洗う物なんていったら、カレーをよそった皿くらいだし。

「………」

「…………」

キッチンから戻り、そのままソファの前に腰かけ、無言でテレビを観始める幸。

「……………」

「…………」

うん。 まあ、いつもこんな感じなんだ。
これだけ無言が続くのって、他の人だとダメなんだけど、幸なら平気なんだよな。
なんか、こう……変に気を遣わなくていいっていうか…

「あ、そうだ。」

「……?」

ぼーっとテレビを観ていたらいい時間になったので、幸とベッドに潜り込んだんだけど…
幸に話したいことがあったのを思い出したわけ。

「明日さ、休日じゃん?」

隣に寝転がっている幸は、俺の言葉に無言で頷いた。
うん。 これも、いつものこと。

「天気良いみたいだし、出かけないか?」

少し戸惑った様子を見せる幸。 まだ、俺と出かけることに抵抗があるみたいなんだ。
あ、いや…俺と出かけるのが嫌とかではなくて、お金を出してもらうことに抵抗があるらしい。
……たぶんね。 俺の推測でしかないんだけど。

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