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BL~中編・長編集2~

第14章 ~番外編③~

「最近、幸は料理作ってくれるだろ? 前に、必要な道具がないって言ってたじゃん。 それを買いに行こうと思ってさ。」

「………い…いの…?」

あ…ちょっと嬉しそうな顔した。 料理、楽しいのかな?

「いいに決まってるだろ。 俺も美味いもの食いたいしさ。 だから、明日買い物行こうな?」

「……うん…」

遠慮がちに…でも、すこーーーーーしだけ頬を緩めて、嬉しそうに頷いた幸。
もうね、俺ね……それだけで嬉しくなっちゃったよ。
嬉しさのあまり、幸をぎゅーって抱きしめて、その日はそのまま眠った。


「これだけでいいのか?」

「…………ん…」

で、次の日。
昨日言った通り、買い物に来たわけなんだけど…

「遠慮すんなよ? 必要なものは、ちゃんと言ってくれていいんだからな?」

「…………」

なんて言っても、遠慮するんだよな、幸は。
仕方ないのかもしれないけどさ。

「あ、そうだ。 せっかくだし、オーブンも買って行こうぜ。」

「……ぇっ…」

急な提案に、ちっちゃく驚いた声を出した幸。

「俺、幸が焼いたパンとかクッキーとか食べたいしさ。 そういうのって時間かかるから、お前も日中暇しなくて済むだろ?」

「…………」

まあ、まだまだ料理初心者だから、パンやクッキーを焼けるようになるのは、当分先の話だろうけどな。
いつ必要になるかわからないし。

「それに…パンとかだけじゃなくて、グラタンとか他のものも作れるしさ。 作れる料理も増えるから、俺も家に帰るのもっと楽しみになるし。」

「………ん…」

そう言って幸を説得すると、ようやく首を縦に振った幸。

「じゃあ、オーブンも一緒に選ぼうな。」

「……うん。」

でも、なんだかんだ言って、オーブンを買ってもらえることは嬉しいみたいだ。
オーブン売り場に向かう幸は、いつもより少しだけ足早だったから。

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