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BL~中編・長編集2~

第14章 ~番外編③~

「へぇ…最近のオーブンって、こんな便利な機能もついてるのか。 幸、どれにする?」

「………ん……?」

オーブン売り場に来たのはいいんだけど…最近って、こんなにいろんなオーブン出てんの?
棚にずらっと並ぶオーブンを見て、俺もびっくり。

幸に意見を求めると、幸は困ったような表情を浮かべ、少しだけ首を傾げた。
たぶん、幸にはさっぱりわからないんだろうな。 俺も全然わかんないし。

「じゃあ、店員さんに聞いて、一番よさそうなのにするか。 な?」

「………」

俺の言葉に、無言で頷く幸。 俺はその辺にいた店員を呼び、並んでいるオーブンの機能を説明してもらった。
店員の説明を聞いている間、隣にいた幸は俺の服の端をぎゅっと掴み、いつも以上にくっついていた。
全く知らない他人が近くにいることで、緊張してる……のか?

「いかがいたしましょうか?」

「ん~…難しいな。 これなんか結構よさそうだけど…幸、これでいいか?」

「………ん…」

俺の後ろに隠れ、ちっちゃく頷いた幸。 ずっと緊張させたままなのは疲れるだろうし、さっさと買い物を終わらせることにした。

「じゃあ、これでお願いします。」

「はい。 ありがとうございます。」

店員がレジにオーブンを運ぶ準備を始めたので、俺は幸を振り返った。

「幸、外で待ってろ。 会計して、すぐに行くから。 な?」

「……ん…」

携帯も持たせてあるし、店の外に出て待っててくれるだろうし、レジの時まで緊張させるのはさすがにかわいそうだな…と思い、外で幸を待たせることに。
幸も特に変わった様子を見せることもなく、素直に俺の指示に頷いた。

「ありがとうございましたー。」

で、さすがにオーブンを手では持って帰れないので、会計と宅配の手配を済ませ、店の出口に向かおうとしたんだけど…

「おっと!!」

「……っ…!!」

店から外に出る前に、幸が俺のところまで走って来て、そのままの勢いで抱きついてきた。

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